イナセくんと行く、新橋さんぽ

新橋さんぽ三十四歩目

ゆかた美人と知る江戸前の技 『寿司處 金兵衛』

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「現在、時刻は朝の7時。ここは日本の食を支える築地市場。今回のさんぽでお世話になる方が仕入れに来ているとの事で、今日はココから取材を始めてみたいと思います!」
 
築地市場は場内と場外という場所に分かれていて、主にプロの料理人の方々は場内で仕入れをしているそうです。場内初体験のオイラは戸惑いながらも、所狭しと卸問屋が並ぶ細い通路を邪魔にならない様に進んで行きました。
すると、とある一軒の卸問屋でその方を発見!『寿司處金兵衛』三代目の植田和利さんです。
寿司處金兵衛さんは昭和34年創業で、今年54年目を迎える老舗のお寿司屋さんです!
 
「おっ!イナセくん、おはよぉー!朝早くから取材ご苦労様です(笑)」
「おはようございます!今日は1日宜しくお願いしますね!」
「こちらこそ宜しくお願いします。じゃあ、もうちょい仕入れに付き合ってくれるかな?」
「はい!でも…仕入れって1つの卸問屋で終わらす訳じゃないんだ?」
「そうだね。贔屓(ひいき)にしてる卸問屋は数件あって、卸問屋毎にそれぞれ得意な食材があるから、それを色々と使い分けているんだよ。」
「へぇ~!!食材選びって大変なんだ。でも、それも目利きってやつで大切なんだろうね!」

 


=早朝から凄い活気!!=

 


=植田さんを発見!鮮魚の吟味中!?=

 


=美味しそうな魚たちがいっぱい!=

 

 

慣れた足取りで小一時間もかからずに仕入れを済ますと、一路店舗へと足早に戻ります。
店舗に戻ると先ほど仕入れてきたそれぞれの食材を、二代目のお父様と従業員の板前さんとで段取り良く仕込みに入ります。コハダにアナゴやシロギス、それにハマグリなどと江戸前を代表する食材たちが手際良く捌かれ仕事をされていきます。
「ねぇねぇ、これは車エビでしょ?じゃぁ。こっちのエビってなに?どうするの?」
「それは芝エビ。昔は港区の芝で良く捕れたから芝エビって名付けられたらしいんだけど、それを使って江戸前伝統の一枚焼き玉子、すなわち玉(ぎょく)を作るんだ。きっとイナセくんがイメージしてる玉子焼きは出汁巻玉子でしょ?あれは料理屋さんや蕎麦屋さんで出される玉子焼きで、寿司屋の玉子焼きはこの後作る1枚焼きなんだ。」
江戸前伝統の一枚焼き?よくオイラが食べる出汁巻玉子とどう違うんだろ?ワクワクドキドキを直感したオイラは、迷わずそれにスポットを当ててみたいと思いました!

玉(ぎょく)作りのまず最初は芝エビの下処理から始まります。殻を剝いた芝エビから竹串を使って背ワタを取ります。そして余分な水分を絞り落とし、まな板の上で包丁で叩かれます。
「粘りで包丁が重たくなるくらいを目安に良く叩くんだ。ここを疎(おろそ)かにすると、後で粘りを出そうとしてもどうしようもなくなるんだ。玉(ぎょく)の仕上がりを大きく左右する大事な作業なんだよ。」
そう教えてくれると、ネットリと仕上がった芝エビの身を当り鉢に入れました。
塩を加え一定の方向に当り始めます。そして大和芋、砂糖を加え再び良く当たります。この順番が狂うと、上手く混ざらないとの事でビックリです!そして新鮮な卵を芝エビの身と合わせていきます。卵もあまりに混ぜすぎるとコシがなくなり、焼き上がりに影響が出るそうで、常に細心の注意をしながら生地を作っていきます。
 


=プルンっとした身が現れたぞ!=

 


=意外と簡単に抜けるんだね!=

 

 


=段々と粘りが強くなってきた!=

 


=トロトロの生地!美味しそう!=

 

[ さんぽ公開日:2013/08/05 ]


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