梅雨明け間近の小雨が降る中、三味線の「石村屋」にお邪魔しに行きました。
新橋のど真ん中、烏森口からすぐの柳通りに入った左側の二階に店舗はあります。
「こんにちは!三味線はまったく素人で何もわかりませんが、今日はいろいろと教えてください。」
親戚のおばちゃんも歌舞伎好きで三味線、よく弾いていたな。
でも三味線ってよくわからないのよね。ほんとに猫の皮を使うのかな。いろいろ聞いてみよーっと。
伊東良継氏は「石村屋」の二代目。
以前は一階に店舗がありましたが、今は一階を貸し出し二階を店舗にと、5月に改装されたばかりです。
昔はお店にもたくさんのお客様が来ていましたが、最近は三代目にあたる息子さんがお客様のところに行って預かってきて、張りなおして届けるシステムに変わってきたとのことです。
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石村屋二代目と三代目
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「三味線屋を始めたのは祖父が明治の終わりに新橋に移ってからになります。
このあたりは花柳界の真っ只中で、粋な料亭、置屋、見番、今でいう芸者さんのプロダクションもあって、小さいころはどこかしらで三味線の音色が聞こえてきた風情のある街でした。普通の住宅街とは違いましたね。
でも今では時代も変わって、交通規制で車で遊びに行くことが難しくなったり、カラオケが主流になり、芸事をわかって粋な遊び方をされる方も少なくなってきて、花柳界の芸者もコンパニオンへと変わっていきました。
昔は新橋から虎ノ門界隈に三味線屋が15件ありましたが、今はうち1軒になりました。」
昔は新橋でも三味線の音色が溢れていたなんて、今となっては想像もつきません。
三味線自体あまり見る機会も少ないですし、どのような楽器なのか教えて頂きました。
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三味線を持って説明を始める伊東氏
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「三味線のもとは江戸時代の少し前、インドにあった「シタール」という楽器だといわれています。
それがシルクロードをわたり各国でギターになったり、日本では最初に沖縄の三線(さんしん)となり、
その後琵琶へと発展し、今の三味線へと変遷していったそうです。」
「また三味線の特徴として、他の楽器とは違い弦を弾くと音色に「サワリ」という一つの音が重なった様なウヮンウヮンと響く特色があります。洋楽では濁音とされてますが・・
だけど、これをちゃんと調整して音色があうと広がりが出て、これこそが三味線の面白いところなんですよ。」
「その弦って何で出来ているのですか?」
「普通は絹ですね。とてもいい絹を使っているんですよ。
津軽三味線の様に激しく弾くものだとすぐ切れちゃうから、あれはナイロンなんです。
弾くものによって弦の太さも違うんですよ。細い方が高い声色が出るからね。
色の黄色はウコンで染めているんです。」
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三味線の弦(左から津軽 民謡 長唄の順)
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