イナセくんと行く、新橋さんぽ

新橋さんぽ六歩目

三味線の石村屋=対談編=

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「それに、やる演目によって「コマ」(弦と皮の間に挟む台)で高さを調整して音色も変えているんだ。」

そう言うと伊東氏は目の前で弾いて下さいました。

そうそう!実は三味線って三つの組み立てからなる、折りたたみ式だったんですよ!

「凄いでしょ。とても合理的で、便利に持ち運び出来る様になっているんだよ。」
 
専用の箱に小さくすっぽり入った三味線

 

 と云う事は、まず組み立てて弦を張って・・・それから・・・
三味線をされる方ってそれが出来る様にならないといけないのですね。
私だったらずっと組み立てたまんまにしそうです。。。
教室で借りて習っていると、折りたためるのを知らないまま弾いている方々もいるそうです。

「縦の力は丈夫なんだけど、横の力に弱いから簡単に折れてしまいます。
ですから、横の力が強くなる様に「ホゾ」が彫ってあるんですよ。」
 

三味線のほぞの部分

 

そう言いながら分解して見せて下さったのは三代目の息子さん。

 

三つに分解した三味線

 

こんな立派な跡継ぎなら石村屋さんも安泰ですね!

「それでですね・・・やっぱり・・・三味線の皮といえば猫…なのですか?」

「そうだね。本土に蛇がいないから、その辺にいた猫で試したのが始まりじゃないかな(笑)
三味線は胴中を響かせ、皮の振動で音を外に出す構造になってます。
猫の皮は薄くて毛穴が多く、またそれが外に開いているので音が響き易い。
現在は犬も使われる様になっているけど、皮膚呼吸が出来ない生き物だから、
猫より毛穴も少ないし、厚くて丈夫なんだけど音の響きが悪いんだ。
だから三味線には、いまだ猫の皮が重宝されてますね。」
 

三味線の皮。黒く見えるのはオスのオッパイの跡

 

「今は猫の皮を手にいれるのも大変なんじゃないですか?」

「確かに法的に厳しくなったからね。
現在は輸入の割合が多くなってきて、国産品は1割くらいといわれています。
昔は専門の猟師がいて、剥いだあとの肉は隅田川に捨ててたんだって。
だからあの辺の魚は美味しいと評判だったし、江戸前の美味はそこからかも知れないよ(笑)」

「えっ~!本当ですか!?」

伊東氏は20代初めまではバンドマンでした。
そして交通事故にあった事がきっかけで家業に携わることになったそうです。

「どちらも音に関わるお仕事、やはり音感がよくないとこのお仕事って出来ませんよね。
今度は息子さんが三代目で家業を継いでいかれるとの事ですが教えるのも大変ですよね」

 

三代目が弦を調整している

 

[ さんぽ公開日:2009/07/29 ]


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