イナセくんと行く、新橋さんぽ

新橋さんぽ七歩目

三味線の石村屋=仕事編=

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「一度皮が濡れてますし、乾くまで同じ状態じゃいけないので、相変わらずモチノリを使うんですよ。
昔ながらのやり方だけど、今の接着剤だと引っ張ってる内に乾いてしまのでダメなんです。 
乾かして初めて乾く様でないと意味がないので、いまだにモチノリなんですよ。」
そう言いながらモチノリを練り始めた御主人。
貼ると同時に張りも確保させなくてはいけないなんて大変な事です。
皮が乾いて張り切れて、初めて接着が完了するには、やはりモチノリが重要なんですね。
 
練られ粘り気が増す餅糊

 

「この糊も、三味線屋によって独自に考えて、白玉粉を使う職人さんもいるんですよ。」
へぇ~、職人さんの拘りって凄い独創力なのですね。頭が下がります。
粘りが十分出たところで、木の箆(へら)を使い胴の淵へ均等に塗り付けます。
見ている分には簡単そうだけど、あの粘る糯を斑なく伸ばすのも技術だよね。

 

綺麗に均等に塗られた餅糊

 

糊を塗り終わったら、いよいよ貼り付けです。
皮と胴をそれぞれ片手に持ち、位置を合わせて被せます。

 

乗っけるのでなく張り合わす様に接着

 

張替台に胴を乗せ、木栓と張替台に縄をかけていきます。
ここからの仕事で、艶のあるあの音色の全てを決めるといっても過言ではありません。
一箇所一箇所、しっかりと上下に縄を締め付けます。
 

全身を使ってしっかり締め付け

 

締めの甘い部分は張替台に楔(くさび)を咬ませて調整します。
縄の緩みでなく、皮の張りを慎重に見極めながら打ち込みます。

 

位置を決めるのも職人技

 

さらに細かい調整に棒を使い絞りあげます。
「何枚も破いて経験で覚える技術なんですよ。
 それにお客さんによって求める音色は違いますから、それも加味して仕事をしないと。」
求める音色を醸し出さすなんて、やっぱり音感も良くなくちゃ出来ない仕事ですね。

 

絞り具合も熟練の賜物

 

指で皮を弾き、貼り具合を確認。
「昔のお客さんに比べたら、本当、今は仕事に五月蝿い人は少なくなったね。」
職人としての誇りと意地が発揮し辛い現代に、どこか寂しさを感じるのはオイラだけでしょうか。

 

万遍なく弾いて音色を確認

 

全体の調整をされ乾燥を待つ胴

 

[ さんぽ公開日:2009/07/30 ]


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