イナセくんと行く、新橋さんぽ

新橋さんぽ二十四歩目

文銭堂本舗

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「売り場で待っている時に気になっていたんですが、多くのお客様が買い求めていた『学問のすゝめ』という商品はどんなものですか?」
「よく見ていましたねぇ、イナセ君。この商品は三田にある店舗が、慶応大学のすぐ近くにあるところから、なにか面白い物はないかと考えた末に出来上がったもので、福沢諭吉先生の『学問のすゝめ』をモチーフにした手付け最中のことなんだ。手付け最中というのは、最中の皮と餡が別々になっていて、食べる時にお客様ご自身で作ってもらう最中のことなんだよ。イナセ君もよかったら作ってみるかい?」
「いいんですか、社長? ありがとうございます。」
そういえば、その昔、駄菓子屋でミルクせんべいに梅ジャムをのっけて食べたような、そんな懐かしい風景を想い出しながら、餡をたっぷりのっけて一口ガブリ!すると、皮から「バリ、バリッ」と初めて味わう噛み応えの音が聞こえてまずはビックリ。次に来る皮の香ばしさにこれまたビックリ。なんという餡と皮の絶妙なハーモニー!!皮がしんなりした最中しか食べたことのなかったオイラはすっかりカルチャーショックを受けてしまいました。
 


福沢諭吉先生の有難いお言葉が書いてあります

 


皮と餡が別々に入っています

 


甘さ控えめの餡をたっぷりのっけてガブリ!

 

 
こんな最中なら、お客様のところにお土産として持っていって、一緒に作りながらワイワイガヤガヤしながら食べるのも良し。英語での作り方の説明書付きなので、外国人のお土産にも良し。この皮の中に餡の他にも、白玉を入れたり、アイスクリームを入れたりフルーツを入れても良し。いろいろなバリエーションを考えただけでも楽しくなっちゃうね。
 
「ところで、和菓子を作るうえでの文銭堂さんとしてのこだわりを教えていただけますか?」
「そうですね、当店では機械には頼らずに、職人達の腕に徹底的にこだわっているところでしょうか。1年間で230種類もの商品を作っていくには職人達の腕がものをいいます。特に、1カ月ごとに変えている上生菓子の繊細さは職人なくしては作ることが出来ません。」
「社長、図々しいお願いなんですが・・・その上生菓子も見せてもらえますか?」
「イナセ君、そう来るだろうと思ったよ(笑)」
すぐに従業員さんに指示を出して、季節の上生菓子を持ってきてくれました。
社長、太っ腹!
 


季節の上生菓子に囲まれて上機嫌なオイラ

 


水の透明感を表現した「水鏡」

 


鮎二尾と水面に映り込む花火を表現した「玉川」

 


濁りの全くない水の透明感だったり、水面に映る花火の色彩の美しさだったり、ひとつひとつの小さな上生菓子にこれほど息を呑んでしまうとは。多くの材料を使って、小さな世界に綺麗な和を作り上げてしまうなんて社長のイマジネーションって凄いものがあるな!到底、オイラにはイメージすら出来ないよ・・・しかも、これらの上生菓子は、素材が違っていても、同じ力で上から下まで切ることが出来るんだって。食べる人のことをトコトン考えてくれている職人さんたちのこだわりが詰まっているんだね。

[ さんぽ公開日:2011/09/29 ]


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